そしてお父さんの顔を見るのをさけるように、背を向けた。



陽生に、会いたい。


なぜだか無性にそう思った。


ショックのあまり、少しだけふらつく体をなんとか持ちこたえようとすると



「ふっ、逃げるのかね」



そう言われ、私はドキリと足を止めた。



「さっきはあんなに威勢のいいことを言っておいて、結局はそんなものか」


「えっ……」


「正直もう少し話しが分かる相手だと思っていたが……、そうか、実に残念だ。やっぱり私の勘違いだったようだ」



背後でお父さんが立ち上がるのが分かった。


そして呆れたように届いた声。



「言っとくが、君が陽生と別れようが別れまいが関係ない。神崎くんとの話しは進めさせてもらう」


「えっ……」


「このまま陽生には神崎くんと結婚してもらうから覚悟をしておきなさい」