「世の中は全てビジネスだ。自分にとって何が得で何が損か。それが一番まともな人生の選択だとは思わないかね」
まるで言葉がでてこない。
言ってる意味が分かるようで、分からない。
なぜか、お父さんの顔が酷く歪んでいるように見えてゾッとする。
「…だから、別れろ……と?」
「そうだ」
キッパリ言われ、やっぱり私は何のリアクションも示せない。
ただ苦しくて、キリキリと痛む胸元を右手でギュッと握りしめるのがやっとな私。
「所詮愛なんて一時的のまやかしみたいなものだ。永遠に続くわけじゃない。次第に薄れ、お互いの存在がまずらわしく感じる時が必ず来る。だったら始めからそんなものには縛られず、自分の利益のために将来を決めた方がいいんじゃないのかね」
「で、でもっ……」
「こんなはずじゃなかったと、あとで後悔する前にもう少し冷静になって自分にとって一番いい選択を選びなさい」
「そんなっ……」



