その変わりように、思わずビクリと息を飲む私。
「いいかね、君の言ってることはあくまで理想にすぎん。ありきたりな一般論を並べられても、そんなものは何も説得力にはならないよ。だいたい愛とか恋だとか、そんなもの本気で重要だと思うのかね」
「えっ……」
「そんなものは所詮一時的の感情にすぎない。そんな形のないものにしがみついていったい何の特があると思う?」
「……そ、れは……」
ゴクリと息を飲む。
私は唖然としながらも、お父さんが次に発せようとしている言葉を直感的に予想する。
「そんな感情なくても生きていける。あっても邪魔なだけだ。むしろない方が清々する」



