甘い体温②・後編・


その変わりように、思わずビクリと息を飲む私。



「いいかね、君の言ってることはあくまで理想にすぎん。ありきたりな一般論を並べられても、そんなものは何も説得力にはならないよ。だいたい愛とか恋だとか、そんなもの本気で重要だと思うのかね」


「えっ……」


「そんなものは所詮一時的の感情にすぎない。そんな形のないものにしがみついていったい何の特があると思う?」


「……そ、れは……」



ゴクリと息を飲む。


私は唖然としながらも、お父さんが次に発せようとしている言葉を直感的に予想する。



「そんな感情なくても生きていける。あっても邪魔なだけだ。むしろない方が清々する」