甘い体温②・後編・


「だから私は……」


「ふっ、ばかばかしい」


「えっ」



噛み砕くように遮られ、私はお父さんを凝視した。


そんなセリフにビックリする私。


そして、おもむろに足を組んだお父さんは、そんな私に気にすることなく一呼吸おいて私に低い声を向けた。



「好きな人と一緒になって初めて結婚が成立するだと?くだらない……、何を言い出すかと思えば、くだらなすぎて笑えもしないじゃないか」



突然吐き捨てるようにそう言って、私に鋭い視線を突き刺してくる。


その顔は今まで見せていたものとは180度違うもので



「まるで茶番、そんな甘っちょろい考えでよく私に説教じみたことが言えたね。実に不愉快だ」



ピリッと背筋が凍る。


まるでくだらないものを見るかの様に、お父さんが私をじっと見つめる。