甘い体温②・後編・


「あなたの勝手なエゴじゃないですか」



お父さんの自分勝手なわがままだ。


だって、自分の知らないところで勝手に話し進められて、無視されて。


おまけに強制的に結婚だなんて……


これじゃあ陽生があまりにも可愛そう。



「子供は親の所有物じゃ……ないんですよ?」



都合のいいコマなんかじゃない。



「ちゃんと気持ちだってあるし、もちろんその人、一人一人の人生だってあるんです」



いくら親だからって、それを勝手に決めていい権利なんてどこにもない。


私はさっきよりもはっきりとした口調でお父さんを見つめた。



「お父さんの会社を思う気持ちは、分かります。……けどもっと、息子さん自身の思いもちゃんと聞いてあげたらどうですか?」



親なら、社長という世間体より、まず自分の子供の将来を最優先に考えるべきなんじゃないの?