「あ…の……」
目を見開く私。
ごく自然に言われた言葉に思考がピタッと止まる。
てか、「別れる」っていう言い方があまりにも普通すぎて、何だか呆気にとられてしまう。
「君ももう知ってるとは思うが、陽生にはもう決まった相手がいる」
「……ミサ、さん……です、か?」
よく状況がつかめないまま、ポツリ私は口にする。
不思議だ。
こんな状態でも落ち着いて会話ってできるんだ。
ほぼ頭の中は真っ白で、動揺してるのに、自分の言ってる受け答えははちゃんと頭の中で理解してる。
「ああ、彼女に陽生とのこれからのすべてを任せようと思ってる」
そしてやっと実感させられる。
ここに呼ばれた意味を、状況を……
今日、ここでお父さんが私に下す結末を今更ながらに把握する。



