甘い体温②・後編・


「あ…の……」


目を見開く私。


ごく自然に言われた言葉に思考がピタッと止まる。


てか、「別れる」っていう言い方があまりにも普通すぎて、何だか呆気にとられてしまう。



「君ももう知ってるとは思うが、陽生にはもう決まった相手がいる」


「……ミサ、さん……です、か?」



よく状況がつかめないまま、ポツリ私は口にする。



不思議だ。


こんな状態でも落ち着いて会話ってできるんだ。


ほぼ頭の中は真っ白で、動揺してるのに、自分の言ってる受け答えははちゃんと頭の中で理解してる。



「ああ、彼女に陽生とのこれからのすべてを任せようと思ってる」



そしてやっと実感させられる。


ここに呼ばれた意味を、状況を……


今日、ここでお父さんが私に下す結末を今更ながらに把握する。