その姿はさっきの佐渡さんに向けられた冷たい態度ともまたガラリと違う静かなもので。
「あいつは昔っから自分がこうと思ったら誰の意見も聞かずそれに一直線に進む悪い癖があるからね。本当困ったもんだ」
「………」
あれ?
なんか……違う?
思ってたよりも雰囲気が……
怖くない?
もっとこう、きついことをバンバン言われるかと思ったら、この感じ。
なんだろう。
以外に話しやすくなった空気に、やっとまともな呼吸ができるようになった気がして、肩の力が抜ける。
この様子だったらちゃんと話し合えるかもしれない。
いくら怖い人だとはいえ、やっぱり陽生のお父さん。
ちゃんと話せば分かってくれるのかもしれな……
「まぁ、でもそれもあとわずかな話だから安心しなさい」
「はい」
とても自然に言葉を向けられて、思わず縦に頷いた私。



