その瞬間ピリッとした空気が変わったような気がした。
別に愛想よく笑顔を向けられたわけじゃないのに、私を見つめる視線は怖いぐらい物静かなのに。
口調がほんの少しだけ柔らかくなっただけで、ガチガチに固まった背中がゆるゆるとほぐれていくような感覚。
それぐらいもう、目の前の存在には大きな威圧感があって、どれだけ私が緊張に押し潰されそうになってたのがよく分かる。
「い、いえ。とんでもないです!」
そしてそう応えた私。
必死で心を落ち着かせようと試みながらも……
ん?写真って?
頭の片隅では何かひっかかるものを感じて、首をひねる。
「聞くところによると、どうやら陽生の方が君に夢中なようじゃないか。まったく……色々と大変な思いをさせてるんじゃないかね?」
わざとらしく視線を逸らしたお父さん。



