やば……


そんな状況を目の当たりにして、今更ながらに恐怖が押し寄せてくる。


やっぱり、一人でこんな所まできてまずかったんじゃないだろうか?


間違いだった?


そんなことを思いながら、一歩後ずさりすると、目の前のおじさんがじっとこちらを見つめてきた。



「どうか、なさいました?」


「…いえ……」


「では社長室までご案内しますので、私について来てください」


「………」



もう、逃げられない。


ここまできて今更なんだけど、まるで悪いことをして捕まったような気分になってくる。


今からどんな事情聴衆をされるのかと、ふと嫌な妄想が浮かんだけれど…



だ、大丈夫大丈夫!



私は慌ててそんな思いを振り切るように、顔を横に振って足を進めた。