その瞬間、キリリと胸が痛んだ。
思わずギュッと両手を握りしめる。
私だって。
私だって、頼ってばかりじゃ……ない。
守られてばかりじゃない、もん。
私だって、陽生を守りたい。
一人じゃ何もできない女になるのなんて絶対に嫌だ。
「どうかなさいました?」
引き止めた私に、おじさんがゆっくりと向き直る。
その顔はやっぱり何を考えてるのかさっぱり分からない表情だったけれど
「い、行きます……」
真っ直ぐ見つめて、意を決めた。
私だって、いつまでも受け身のままなんかじゃいられない。
陽生のために役に立つことがあるのなら、少しでも強くなりたいと思ったから……