そんな言葉を聞いてピタッと動きを止めた。
「……えっ?」
椎、名?
聞き覚えのある名字にドクンと鼓動が跳ねた。
まさか――…
「陽生様のお父様です」
「あ……」
「一度旦那様が三月様と会ってお話になりたいとおっしゃられてます」
「……私…と、ですか?」
「はい、指しつかいなければ一緒にどうぞ」
そう言われ、凝視したまま固まってしまう。
どう、しよう……
「……私、一人でですか?」
「はい」
「もし、断ったらどうなるんでしょうか?」
恐る恐る返事を覗うと数秒後、何故かにっこりと爽やかな笑みを向けられてしまう。



