「……えっ?」



――…旦那、様?


そんな言葉にゴクリ、息を飲む。


なに?なに?



「あ、の……」



誰かの間違えじゃないの?


てか、旦那様って誰?


わけがわからないまま唖然としていると、目の前の瞳がまたいっそう怪しく光ったような気がした。



「すみません。時間がありませんのでとりあえず乗っていただけますか?」


「いや、ちょっと待っ、だ、旦那様って誰ですか!?」



そしてあんたは誰なのよ??


強引に手を掴まれそうになってたまらず拒否をする。



誘拐?


詐欺?


新手の勧誘??



そんなことを思いながらまた一歩下がった瞬間




「椎名和幸社長です」