それから少しだけ後藤とまったりして家を出た。


午前中のモヤモヤした気持ちとは裏腹に、スッキリとした気持ちで後藤と電車に乗った。


そして途中、反対方向の車両に移った後藤を見送りながら、もう一度鞄から写真を取りだした。



やっぱりすごいなぁ。


何度見ても感動してしまう。


そして、――どうか上手くいきますように……


そう願いを込めて写真を強く握りしめるとゆっくり電車を降りた。


寒空の下、病院までの道のりをドキドキしながら歩く。


はて、どんなふうに伝えようか?


どんなタイミングで写真をみせようか。


うーん、何か照れるなぁ……


そんな緊張する面持ちで病院の入り口まで差しかかり、ふと顔を上げた時だった。




キィーーーーっ!



突然大きな音が響き、目の前に1台の車が勢いよく停車した。