「でもさ、あの人のことはどうするの?えっと……、ミサさんだっけ?」


「あ……」



そうだった。


忘れてた。


すっかり忘れてた。


妊娠のことで頭がいっぱいになっちゃって、そっちの問題を完全にスルーしてた。



「……どう、しよう……」



思い出した瞬間、また違った不安が生まれてきた。


そもそも私って、陽生のお父さんにいいふうに思われてないんだよね。


そしてお兄さんにも……


先日のパーティーのことを思い出し、みるみると表情が落ち込んでしまう。




『前途多難』




そんな言葉がふと脳裏に過ったけれど……



「だ、大丈夫だよ!大丈夫。先生と二人で力を合わせればなんとかなるよ!全力で説得すれば先生のお父さんだってきっと分かってくれる。ミサさんなんて屁でもないからっ!」


「………うん」