甘い体温②・後編・


ドキンと体が硬直する。


着信を見た瞬間、どうしていいのか分からず、私は思わずクそれをクッションの下に隠してしまった。



「三月さん、ちょっと落ち着こうか。なにもクッションに隠さなくても……」



そんな私を見て呆れたように笑った後藤。


隣で背中をさすってくれているけれど、後藤だっていつものような冷静さは感じられない。



「先生からなんでしょ?出なくていいの?きっと心配してるよ?」


「………」



俯いたまま、無言をつき通す。


そんなことは言われなくたって分かってる。


だって昨日の夜を最後に一度も陽生と連絡をしてないんだから。


しかも入ってきたメールさえ未読のまま放置状態。



「……ちょっと、気持ちの整理、させて……」



もう少し落ち着きたい。


正直陽生には悪いけど、もう少しだけこのまま一人で現実と向き合っていたい。