ドキンと体が硬直する。
着信を見た瞬間、どうしていいのか分からず、私は思わずクそれをクッションの下に隠してしまった。
「三月さん、ちょっと落ち着こうか。なにもクッションに隠さなくても……」
そんな私を見て呆れたように笑った後藤。
隣で背中をさすってくれているけれど、後藤だっていつものような冷静さは感じられない。
「先生からなんでしょ?出なくていいの?きっと心配してるよ?」
「………」
俯いたまま、無言をつき通す。
そんなことは言われなくたって分かってる。
だって昨日の夜を最後に一度も陽生と連絡をしてないんだから。
しかも入ってきたメールさえ未読のまま放置状態。
「……ちょっと、気持ちの整理、させて……」
もう少し落ち着きたい。
正直陽生には悪いけど、もう少しだけこのまま一人で現実と向き合っていたい。



