次の日の朝。
私は大学にも陽生の所にも行かず、反対方向の電車に乗った。
隣には少し顔を強張らせた後藤がいて、行き先は今住んでる所から2駅ぐらい遠く離れた厚生病院。
その中にある最近新しくなった産婦人科が今日の目的の場所だった。
「お願いだから病院に言って!」という強い後藤の言葉に負けて、やっと行く決心ができた。
本当は陽生と一緒に行くべきなんだと思う。
……けど、さすがに今の状態では一緒には行けない。
だから、あえて陽生の友達の秀先生のいる病院からなるべく遠く離れたとこにしたんだ。
だって、いつどんなふうに陽生や静香さんに伝わっちゃうか分からないんだもん。
自分から伝える前に陽生達に分かっちゃう可能性だけは避けたかったから……
「なに、あんたがそんなにガチガチに緊張してんのよ」
「だってぇ、産婦人科なんて初めて来たんだもん」
待合室に座り、そんな会話を繰り返す。
でもまさか、この時そんな私達の様子をある人に見られてるなんて、想像すらしていなかった。



