「私、帰るね」
「えっ」
「また来るね」
そう言って、あっさりと背を向けると、すぐに陽生の焦った声が聞こえてきた。
「あ、おいっ……」
だけどそんな陽生に今は構ってられない。
私はなるべく自然な笑顔を作り、「ばいばい」と言ってゆっくり扉を閉めた。
「はぁ……」
ドアに持たれながらまたしても垂れてしまう。
……また、言いそびれちゃった。
ていうか言えなかったなぁ。
自分のタイミングの悪さにガックシと肩の力を落とす。
なんだかなぁ~。この3日ずっとこんな感じだった。
陽生にちゃんと言おうとする時に限って誰かしら邪魔が入る。
親戚、営業、製薬会社。
まるで誰かに見はられてるようにタイミングが合わない。



