「果歩、お前俺に何か言いたいことがあるんじゃないのか?」
グイっと手を捕まれて、ドキリと心臓が波を打った。
「え……」
「この前電話で言ってただろ?話したいことがあるって。あれってなんだったんだ?」
じっと見つめられて、思わずベッドのシーツを握りしめる。
この前、というのは3日前の私が我が儘を言ったあの日のことだ。
まさか、こんなタイミングでそんなことを聞かれるなんて思わなかった。
「えっと……」
急にありえない緊張に襲われた。
無意識にお腹に手を当て視線をそらすと、陽生が「果歩?」って私の顔を除きこんでくる。
言わなきゃ……
ちゃんと陽生に本当のこと言わなきゃ。
個室独特の静けさにゴクリと息を飲む。
それでももう一度、力強く目の前の瞳に視線をむけた瞬間
――…コンコン。
「椎名先生、昼食のお時間ですよぉ」



