「奇跡ですって」
「えっ」
「あの事故で右の上腕骨骨折だけだなんて奇跡に近いって言われたわよ」
「……そう、なんですか?」
コクリと頷いた静香さんがそっと私を立たせてくれる。
そして先生達の方を見つめながら、こと細かく事故の詳細を語ってくれた。
「もう!本当に人騒がせなんだから!いっそ、意識不明の重体になってくれた方がまだ泣きごたえがあったわよ」
そう言ってクシャリと前髪を握った静香さん。
……けど、その瞳からは大量の涙の痕が残っていて、とても先生への愛情が伝わってきた。
「陽生……陽生……」
目の前では三月さんがベッドに座る先生に抱きつき、声を上げている。
「もう、会えないかと思っ……」
「こら、勝手に人を殺すな。俺は死なない。果歩を置いて何処にも行かないよ」
そんなやり取りに胸が締め付けられる。



