ビックリして唖然とした声を出すと、後藤が少しだけ笑って頷いた。



「先生がね、もし私さえよければ今夜果歩の側にいてやってくれないかって。きっと今頃一人で泣いてるだろうからって、わざわざ家にタクシーまで呼んでくれて」



うそ……



「陽生、が?」


「うん、今からだとどう頑張っても家に着くのが朝方になっちゃうみたいでね。だからそれまでよかったら一緒にいてやってほしいって先生が……。それはもう心配でしょうがないって感じだったんだよ」



その時の会話を思い出したのか、後藤が可笑しそうにクスッと笑う。


私はというと、そんな後藤の言葉を聞きながら、またしても急激に泣きそうになってしまって……



ううん、我慢なんかできなくて後藤の目の前でポロポロと泣いてしまった。




陽生……



相変わらずの優しさに、震えるように心が締めつけられる。


まるで気持ちが熱く溶かされていくようで……


余計陽生に会いたくてたまらなくなってしまったんだ。