そしてまたどんどん遠のいで行ってしまう陽生の姿……


「やだ、待って!」



行かないで!!


黒い塊が邪魔をして陽生の顔がちゃんと見えない。


私に向かって何かを言ってるのが分かるのに、その声が上手く聞き取れない。



何?


何て言ってるの?



焦れば焦るほど陽生の姿は小さくなっていって、距離がさらに遠くなってしまう。



やがて、陽生が再び私から背を向けようとしたから



「やっ!」



私は慌てて陽生の方へと手を伸ばす。


そして大声で叫んだ瞬間、目の前の黒い塊が全てを覆うようにドサッと襲いかかってきてーーー


そこでハッと目が覚めた。