「ちゃんと親孝行してこいよ」
きっと誠二さんもそのつもりで果歩にお願いしたんだろう。
この期に少しでも果歩と母親の絆が深まればっと、そう思ったに違いない。
「……うん、でもなんか複雑な気分、なんだよね」
「なんだ、緊張してるのか?」
「ん、少し…」
恥かしそうに俯く果歩。
まぁ、無理もないか。
……でも、その姿がなんとも可愛らしい。
気づいたら俺は目の前の肩をグイっと掴み、悪戯に引き寄せていた。
「大丈夫、ホームシックになったらいつでも俺に電話しろよ。すぐに迎えに来てやるから」
ギュッと抱きしめ、頭を撫でる。
「な、によそれっ」
それじゃあまるで子供じゃない!と納得がいかないように怒った果歩の頭をやっぱりクシャクシャと撫でてやる。
「夜、一人で寝れる?」
「それはこっちのセリフだしっ」