(美女の秘密ーSide陽生ー)




「よし、着いたぞ。忘れ物ないか?」



そしてその週の水曜日。


俺は果歩を隣に乗せて、車である家の前まで来ていた。


後ろには少し大きめのボストンバックが一つ。



「うん、ありがとう、大丈夫」



果歩がシートベルトを外し、俺を見る。


手元にもう一つ小さめのバックを持ち、少し照れくさそうに笑顔を見せた。



「なんか……変な感じだね。こうして別れるなんて」


「ああ、だな」


「少し寂しいっていうか、すごく妙な気分」


「それって初めてのお泊り?みたいな?」



クスッと笑い、俺は果歩の頬に手を当てる。


外はすでに静かな夜が広がっている。


カーナビのわずかな明かりの中、そっと顔を近づければ果歩はさらに戸惑ったような顔をした。