「それ、本当に……風邪?」


「え?」



そう言って後藤が複雑そうに眉を寄せるから、私はハテナマークを浮かべて目をパチパチさせた。



「は?」


「間違ってたらごめん。……でも、ひょっとしてそれ、つわりなんじゃないの?」


「へっ」



………つわり?


て、なんだっけ?


その単語にピンとこなくて、一瞬ポカンと間の抜けた返事をしてしまう。




「後藤……?」


「もしかしてさ、それ風邪じゃなくて「妊娠」なんじゃないのかなって……」




ガタンッ…!


思わず持っていたペットボトルを力なく床に落としてしまった。



「に……」


「三月さん妊娠したんじゃないの?」