甘い体温②・後編・


「ほら、そんな顔しないでよ。私なら本当に大丈夫だからっ」



前に立つ後藤に弁解するように手をバタバタさせた。



「でも……それ、椎名先生は知ってるの?」


「えっ」


「ちゃんと言ってる?」



その問いかけに一瞬動きが止まる。


じっと向けられる視線がなぜかものすっごく怖かった。




「いや、別に特には……」



言ってない。



「ていうか、あえて言わなくても大丈夫かなぁ~なんて……」


「三月さんっ!」



ものすごい剣幕で怒られた。


ビクッと全身を強張らせると、後藤の仁王立ちになる姿が飛び込んでくる。



「だって……」


「じゃない!三月さんは体調管理がなってなさすぎ!だいたいこの前も風邪引いたとか言ってたじゃない!?もうそんなんじゃ全然ダメッ!まるっきりダメ!医者の彼女失格!」