「ど……して?」
掴まれた手に驚く私。
マンションの中に入ったんじゃなかったの?
私の体を支え、一緒にしゃがみ込んだ後藤に思わず顔を上げる。
「大丈夫?」
「何で……」
思わず後藤の腕を掴みそう聞くと、とても焦った様子の後藤と目があった。
「ごめん、やっぱり心配だったから……」
「えっ」
「実はね、あそこからこっそり様子覗ってたの」
そう言って後藤が目で視線を送った先は、ちょうどマンションの入り口の影だった。
「そっか……」
「ごめんね、でもどうしても気になっちゃって、だってあの人があのミサさんとかいう人でしょ?」
「うん……」
「やっぱり」



