これで最後だと言わんばかりに振り返ったミサさんが、やっぱり涼しい顔をしてこう言った。



「果歩さん、あなたもっと内面を強くなさった方がいいわよ」


「えっ」


「だって今のままだときっとあなたから先生の元を去ることになる。そう思うの」



その言葉を聞いた瞬間、体に衝撃がはしった。


何を言われたのかすぐに理解できなくて、思いっきり顔を歪めてしまう。



「愛されてるのはけっこうだけど……でも、それに頼りっぱなしもいかがなものかしら?
守られて、甘やかされてるばっかりじゃそんな関係いつか壊れるわよ」


「え……」


「だってそうでしょ?そんなのフェアじゃないもの。この先本気で先生と一緒にいたいなら、あなたもちゃんと先生を守る強さを持たなきゃ」



守る……強さ?


私が?



「先生だって完璧な人間なんかじゃないのよ。時には弱って誰かにすがりたくなる時もあるんじゃないかしら?そんな時、果たして今の果歩さんにそれを受け止めてあげられる器があるのかなって」



そこまで言って、何故かハッとしたように目を細めたミサさん。


そして、また可愛らしいく笑ったと思ったら



「ふふ、なんかでしゃばったこと言ってごめんなさい。でも、どう見ても今のあなたじゃそれに欠けてるなって思ったから、少しだけ忠告させてもらいました」



クスリ、頭を下げる。