「ミサ様、そろそろお時間が……」
「あら、残念。もうそんな時間なの?」
そう言って現われたのは、上下黒のスーツを身にまとった少し強面の男の人だった。
いきなり現れたその人は、残念そうな顔をしたミサさんに少しだけ申し訳そうな様子で何か用件を告げていた。
あれかな?
世間一般でいう専属の運転手とかいうやつかな?
驚きながらそんなふうに見ていると、再びミサさんの視線がこっちに向き直るのに気づく。
「ごめんなさい、もう撮影の時間みたいなの。少し話が中途半端になってしまったけれど私はこれで、どうもお邪魔しました」
そう言って、またペコリとお辞儀をしたミサさん。
そしてまたあっさりと私から背中を向けようとしたから、私は慌てて声をかけようとして
「あの……」
「あ、そうだった。最後にもう一つだけ」



