その声に私はあっと我に返る。
ああ、そうだった。
そう言えば後藤と一緒だったんだ。
予想もしなかった登場人物に、一瞬そのことを忘れかけていたけれど、すぐに思い出したようにハッとした。
「ごめん、後藤先にこれ持って中に入っててくれる?」
そう言って持っていたバックと部屋の鍵を手渡すと、後藤が驚いたように私を見た。
「え、でも……」
「また後でちゃんと説明するから、今はとりあえず先に行ってて」
後藤には少しだけミサさんのことは話してある。
それと先週のパティーのことも……
だから、きっと感のいい後藤のことだ。
この状況を理解してすぐに納得してくれると思ったんだ。
「ね、お願い……」
「……ん、分かった。それじゃ……」