ていうか、どうしてここに?
ふと斜め後ろに目をやれば、1メートルほど離れた所にいかにもっていう黒のベンツが止まっていた。
「あの……」
「あれ、うちの車なんです。急きょあそこに止めてしまったけれどよかったかしら?それより、今少し話せません?ちょうど果歩さんに会いたいなって思ってきたところだったから」
「え……」
私に?
「陽生じゃ……なくて?」
「はい」
戸惑う私をよそに、ちょうどよかったというような顔をしたミサさん。
「お時間は取らせませんから」と、ニッコリと笑いながら、「はい」と手に持っていた白い箱を差しだしてくる。
そんな時
「三月、さん?」
隣にいた後藤が突然戸惑うように声を上げた。