「安心しろ、彼女とは何もねーよ。果歩の心配することは何もないから」


「えっ……」


「当たり前だろ？俺はお前以外の女に興味なんてない。連絡だっていつも一方的に向こうからだったし、２人で会ったのなんて彼女が帰国して間もない時の一回きりだ」



それも大事な話があるからと、どうしてもって言われたあの日だけ。


バーで初めて親父との真実を聞かされたあの日、まさに俺にとっては思いだしたくもない最悪な１日だ。



「電話の内容だってほとんどが今日のパーティーの用事だけで、俺はすぐに切ってたんだぞ」



つーか何が楽しくて好きでもない女と長電話なんかなきゃいけないんだよ。


しかも状況が状況な相手なだけに、尚更深入りなんてしたくねぇ……




「……本、当？」


「ああ、なんなら俺の携帯でも見るか？」



そう言って、枕元に置かれた携帯に手を伸ばし、そのまま果歩の目の前に差しだした。



「果歩が納得するまで見ていいぞ、むしろしばらくお前に預けようか？」