「…えっ?……パーティーですか?」
しまった!
陽生のことで気をとられてて、さっぱり話しを聞いていなかった。
完全に話しの状況が分からなくなってしまっていた。
「ちょっとしたレセプションパーティーだよ。うちの千代田区にあるホテルの創立10周年のね」
……ホテル?10周年?
ってああ、ひょっとして陽生の実家が経営するあの高級ホテルの?
「今回は少し盛大にやるつもりなんだ。なるべく大勢の人に参加してもらう予定だからね。
それに、君みたいな若い人がいたらきっと会場も華やかになりそうだし」
「へっ……」
「それでどうだ陽生、彼女も一緒なら文句ないだろ?まだ我慢できるんじゃないのか?」
お兄さんの落ち着いた声が部屋に響く。
相変わらず表情は変わらず真顔のままだったけれど、どこかさっぱりとしたようにも見えた。
「どーせ、断っても無駄なんだろ?」
そんなお兄さんに面倒くさそうにため息を吐いた陽生。
封筒をテーブルに置き、半ば諦め気味に椅子に深く背中を付けた。



