しかもそれは俺の携帯だった。
上着のポケットから鳴り響くな着信音に耳を傾けながら、すぐに眉を寄せる。
ちっ、何なんだよ……
よりにもよって、こんな時に。
まさにバットタイミングとでも言うべきか。
そんな俺を見て、果歩がハッとしたように目を開けた。
そして慌てて起き上り、携帯に目を向ける。
「はる……」
「ああ、ごめん」
そう言って再びベッドに座り直した俺に続いて、果歩も横に座り直す。
俺はそんな果歩の体を片手で抱き寄せながら、ポケットから携帯を取り出して待ち受けを見る。
そして驚いた。
とっさに眉を寄せる。
神埼ミサ……
そんな文字に俺は一気に顔を強張せる。



