甘い体温②・後編・


そんな果歩が可愛くて、やっぱり俺は目の前の頭をクシャクシャと撫でた。



「ばか……」


「ごめん」



顔を上げた果歩がムスッと眉を歪め、俺を見る。


愛しいを通り越して、もう何て言ったらいいのか分からなかった。



いつからこんな綺麗な顔をするようになったんだろうな。


なんていうか、出会った頃とはまた違う。


今までとは見違えるような、一段と大人びた綺麗な表情に目がくらむ。


凛とした瞳を見返しながら、気持ちがドッと高まっていくのが分かる。



「安心しろ、俺は何処にも行かない。お前以外の奴とは結婚なんかしない」


「えっ」


「当たり前だろ、好きでもない女と結婚する奴がどこにいるんだよ」



そんな趣味なんかねーよ。


そう言って俺はそのまま果歩を抱き上げる。


ビックリする果歩を抱えたまま、その足で真っ直ぐ寝室へと向かった。