甘い体温②・後編・


これじゃあ、果歩に嘘つき呼ばわりされてもしょうがない。


そんな思いを込めながら、果歩の背中を優しく撫でる。



「嫌な思いをさせて悪かった」



もう一度反省するようにそう言うと、果歩が押し殺したように声を上げた。



「やだ、許さない」



珍しく子供っぽい態度。


らしくない強情な姿に、思わず目元が緩んでいくのが分かる。



「ふっ……」


「何笑ってるの?」



まるで不謹慎とでも言うように、果歩が泣きながら俺の肩を叩く。



確かに、不謹慎だよな。


でも、正直ホッとしていた。


果歩が俺を必要としてくれて、本当のことを知った上でも今こうして俺の傍にいてくれること。


むしろ離れないって、ちゃんと気持ちをぶつけてくれたことが本気で嬉しく思えた。