これじゃあ、果歩に嘘つき呼ばわりされてもしょうがない。
そんな思いを込めながら、果歩の背中を優しく撫でる。
「嫌な思いをさせて悪かった」
もう一度反省するようにそう言うと、果歩が押し殺したように声を上げた。
「やだ、許さない」
珍しく子供っぽい態度。
らしくない強情な姿に、思わず目元が緩んでいくのが分かる。
「ふっ……」
「何笑ってるの?」
まるで不謹慎とでも言うように、果歩が泣きながら俺の肩を叩く。
確かに、不謹慎だよな。
でも、正直ホッとしていた。
果歩が俺を必要としてくれて、本当のことを知った上でも今こうして俺の傍にいてくれること。
むしろ離れないって、ちゃんと気持ちをぶつけてくれたことが本気で嬉しく思えた。



