「泣くなよ…」 泣かせてごめん。 そう力の限り抱きしめると、果歩のすすり泣く声がさらに大きさを増したような気がした。 また、胸が締めつけられる。 正直怖かったのかもしれない。 果歩に嫌われることが、果歩に嫌な思いをさせてしまうんじゃないかって。 もちろんそれ以前に俺自身にも迷いがあった。 親父のこと、これからのこと、色んな葛藤が渦を巻いてなかなか気持ちの整理がつかなかったて言うのも本音だった。