……バンッ!
その瞬間、少し的が外れて陽生の右肩に当たったけれど、そんなの構うことなく睨みをきかした。
バラバラと勢いよく落ちていくバッグの中身。
それと同時に少しだけ顔を歪めた陽生に気づいたけれど……でも、それでも私の気持ちは静まりはしない。
「言っとくけど、別れたりなんかしないからね」
薄暗い玄関の中、真咲さんの言葉が脳裏に過る。
”できるなら君の方から別れを告げてほしい”
冗談じゃない。
何が「ややこしい事になる前に別れろ」よ。
ギュッと両手を握りしめ、拳をつくる。
胸がえぐられるように痛かった。



