まだ、電気を付けてないからうっすらとしかその表情は分からない。


でも、その方が今の私には都合がいいと思った。


だって、こんな情けない顔……


こんなみっともない顔なんて陽生に見られたくなんかないもん。




「果歩?」


「何で……言ってくれなかったの?」



俯いたまま、握られた手を振りほどくと、声を押し殺すようにそう言った。


ギュッと胸が締め付けらるようだった。



「ど……して、ずっと黙ってたの?ミサさんのこと、お父さんに反対されてるって、何でもっと早く……」



言ってくれなかったの?


ぐっと自分の掌を握りしめ、今日あった事を思い出す。