かつて、2人でいてこんなに息苦しいことなんてあったのかな?


一緒にいるのに楽しくない。


2にでいるのに会話もない。


お互い違う方向を見ながら、ただ無言を押し通している感じ。



正直、運転する陽生の顔がまともに見れなかった。


って言うより、今は見たくないっていうのが本当の気持ちだった。


陽生もさっきからずっと前だけを見て、一度も私の方を見る気配もなかった。



なんだろう……


なんだか無性に寂しいと思った。


そして悲しかった。


その反面イライラとやりきれない苛立ちを感じる自分もいて、とにかくぐちゃぐちゃと頭の中が混乱してどうしていいのか分からなかった。




マンションの駐車場に着くと、陽生が気を取り直したように「果歩」って私を呼んだ。


優しく手を差し伸ばしてきたけれど……でも、今の私にはそれを掴む余裕なんてない。


陽生の顔も見れず、その手を無視して無言でエレベーターに乗り込んだ。