……創立10周年?



ふと疑問に思いながらも、シーンと静まる空気に何も言葉が発せられない状況だった。


陽生はというと、それを見るなりあからさまに表情を曇らせ眉を寄せていて


やっぱり声がかけずらい感じ。



「たまにはお前も顔ぐらい出せよ。例え家を出てるとしても椎名家の人間に変わりはなんだから。

それに、その日だったら日曜で病院も休めるだろ」



お兄さんは陽生を見ることなく静かにカップをソーサーに戻し、そう告げた。



「面倒かもしれないけど、たまには親父の顔も立ててやれ」



えっ…


その言葉が、やけに重く聞こえたのは私の気のせいなんだろうか?


妙な胸のつっかかりを覚えて、陽生の横顔をじっと見つめてしまう。