その証拠にさっきから一度もお父さんと目が合わないもんね。
あえて眼中にされてないのか、それとも私の考えすぎなのか。
ううん、きっとこれは前者の方。
あからさまにどうでもいいって感じだ。
「社長、そろそろお時間が……」
そんな時、秘書らしき人が言葉を挟むようにお父さんにそう言った。
タイミングがいいのか悪いのか。
少しだけ砕かれた緊張感に、その場の空気が変わると、それを見計らったように陽生が一呼吸おいた。
「……とりあえず、今日は帰らせてもらう。話しならまた近いうちに聞くから、あんたも自分の仕事に戻れよ」
そう言って素早くお父さんから視線を逸らした陽生。
すぐに「おいっ」て呼ぶ声が飛んできたけれど、それを無視して今度こそホテルからさっさと出て行こうとする。



