甘い体温②・後編・


その証拠にさっきから一度もお父さんと目が合わないもんね。


あえて眼中にされてないのか、それとも私の考えすぎなのか。


ううん、きっとこれは前者の方。


あからさまにどうでもいいって感じだ。



「社長、そろそろお時間が……」



そんな時、秘書らしき人が言葉を挟むようにお父さんにそう言った。


タイミングがいいのか悪いのか。


少しだけ砕かれた緊張感に、その場の空気が変わると、それを見計らったように陽生が一呼吸おいた。



「……とりあえず、今日は帰らせてもらう。話しならまた近いうちに聞くから、あんたも自分の仕事に戻れよ」



そう言って素早くお父さんから視線を逸らした陽生。


すぐに「おいっ」て呼ぶ声が飛んできたけれど、それを無視して今度こそホテルからさっさと出て行こうとする。