そのままフロントまでたどり着くと、陽生がスタッフから車のキーを受け取った。
ほ、本気でこのまま帰るつもりなの?
周りから感じる好奇な視線に耐えながら、ずっと私は担がれたままで……
「陽生」
ホテルを出る寸前、突然背後から声をかけられた。
その声に陽生がようやく足を止める。
それに反応するように顔を上げた私は…
「あ……」
思わず声を上げていた。
だって、そこに居たのは
「親父……」
陽生のお父さんだったから。
向けられる鋭い視線。
カツカツと歩みよってくる足音がやけにもの静かで、とんでもなく嫌な予感がした。



