「や、やだっ……」
私を担いだままズンズン歩き進める陽生に焦る私。
ど、どうしちゃったの?
懲りずに何度かバタバタと抵抗してみたけれど、やっぱりダメ。
その衝撃で片方のミュールが脱げて、コツンと床に落ちる音がしたけれど、それでも陽生は止まってはくれない。
「はるっ……」
「いいからしっかり掴まってろ」
ビクッとするような低い声。
私の言葉なんか無視して歩みを進める姿に、本気で泣きそうになった。
こんな公衆の面前で、皆だってギョッとしたように見てるのに、陽生は何とも思わないの?
やだ……
こんなのやだ。
すれ違う人達の視線がこれでもかってぐらい痛くって、私はたまらず陽生の肩に顔を埋めた。



