「……見て分からない?正直今緊急事態なんだ。悪いけどミサちゃんの相手してる余裕ないから、用件があるなら手短に言って」
やっぱり冷たくあしらったような声だった。
陽生の胸に抱かれながら、それはもうそわそわと落ち着いてはいられない。
チラッと隣の静香さんを見れば、陽生と同じく全く気にした様子もない素振りだった。
むしろ、そんな光景を楽しんでるようにも見えて……
「ねぇ、何で私達がここに居るって分かったの?」
ふと、ずっと無言だった静香さんが怪訝な顔してそう言った。
「あ、あの、さっきお姉さんがここに入って行くのが見えて……」
「それでこっそり後付けてきちゃったんだ」
「……はい。ひょっとしたら陽生さん、お姉さんと一緒なのかなって、そう思って」
「へ~……なんだか随分と必死なのね」
その、嫌味を含んだ言い方にまた驚いた。
だって、いつもの静香さんとはかけ離れて恐ろしく、とても冷やかなトーンだったから。



