「正直酷だと思う、今の君には最後の止めを差しちゃうようで申し訳ないんだけど」



やだ、聞きたくない。


真咲さんが一歩近づいて、私の耳元に顔を寄せる。



やばい…


逃げたいのに動けない。


目を逸らしたいのに逸らせない。


言葉は驚くほど優しげなのに、真咲さんを纏う殺気みたいなものが恐ろしいほど怖くて、ただただ目の前の横顔を見つめるしかできなかった。




「実はね」


「やっ……」



お願いだから聞きたくない!

これ以上何も知りたくない!




誰か……


陽生、静香さん。


誰でもいいから早く戻って来て!


「果歩」って名前を呼んで、安心させて!


手を握ってよ!


真咲さんの恐ろしく穏やかな声を聞きながら、私は心の中でそんな願いを叫ぶことしかできなかった。