「まぁ…ね、普段陽生や静香からどんなふうに聞かされてるのかわからないけど、椎名家と関わるって事はそんな生半可の気持ちじゃダメだってこと」
「………」
「例え陽生がうちのホテルを継がないにせよ、この家を出てるからといって椎名家と縁が切れてる訳じゃないからね。はっきり言ってその辺の男とは訳が違うんだよ」
聞きながら、顔が青ざめていくのが分かる。
……ヤバイ。
胸がズキズキとする。
真咲さんの表情から笑顔が消えていく。
目を逸らしたいのに、まるで固まったようにそれが出来なかった。
「つまり、今君が付き合ってる奴はそういう男だってことは忘れちゃダメだよ」
「―――っ」
――ガツンと思いっきり頭を殴られたようだった。
一瞬にして現実を思い知らされた感じ。
何も言葉が返せなくなり、ふわふわと今まで浮かれてた自分が嘘のように気持ちが落ちていくのが分かった。



