甘い体温②・後編・


「そう、ならよかった」



少しだけ細められた目元に次の言葉が返せなかった。


だってかしこまらなくてもいいよって言われてもなぁ……


そんなの無理だし。


真っ直ぐでクールな瞳、陽生とも静香さんともまた一味違った上品な面持ちに、何となく緊張が高ぶってしまう。


むしろ怖いっていうか……



「それにしても、陽生の奴もなかなか強情だよね」


「えっ?」


「ふっ、婚約者ねぇ……、意地でも自分の思いを貫くってわけだ」



真咲さんが私を見つめながら、何故だか意味深な表情になっていく…



「君、えーっと、名前なんだったかな?確か……」


「あ、み、三月果歩です!」


「あ~そうそう、果歩ちゃんだったね」



思い出したように頷いた真咲さん。