「そう、ならよかった」
少しだけ細められた目元に次の言葉が返せなかった。
だってかしこまらなくてもいいよって言われてもなぁ……
そんなの無理だし。
真っ直ぐでクールな瞳、陽生とも静香さんともまた一味違った上品な面持ちに、何となく緊張が高ぶってしまう。
むしろ怖いっていうか……
「それにしても、陽生の奴もなかなか強情だよね」
「えっ?」
「ふっ、婚約者ねぇ……、意地でも自分の思いを貫くってわけだ」
真咲さんが私を見つめながら、何故だか意味深な表情になっていく…
「君、えーっと、名前なんだったかな?確か……」
「あ、み、三月果歩です!」
「あ~そうそう、果歩ちゃんだったね」
思い出したように頷いた真咲さん。



