「行っちゃった……」
ポツリ、残された私はそんな二人の背中を見つめながら一人呟く。
妙な寂しさを覚え、ふぅ~と息を吐きながら私はそこから視線を逸らす。なんだか無償に寂しくてそのままその場から移動しようとした時だった。
「あ~あ、行っちゃったね」
突然背後から声をかけられて、ハッと驚く私。
ビックリして慌てて振り返ると
「こんにちは、また会ったね」
「あ……」
そこにいたのはなんと、陽生のお兄さんだった。
全身黒の高級そうなスーツを身にまとった貫録のある姿。
それは忘れもしない、黒髪の短い髪をビシッとクールにまとめたその人は……
椎名真咲……さん。



