またまた後ろから声が聞こえ、振り向くと、そこには40代半ばぐらいの紳士が立っていた。
「やぁ、久しぶりだね。おお、ミサちゃんもじゃないか。珍しいなぁ~最近あまり見かけないと思ってたけど、元気にしてたかね?」
「…ああ、沢口さん。お久しぶりです」
「はい、おじ様お久しぶりです」
途端笑顔を作った陽生がスッと私の腰から手を離す。
見ると、2人はもうすでにビシッとした雰囲気に変わっていた。
「せっかくだ。少し向こうで話そうじゃないか。いいかね?」
「あー…今ですか。そうですねぇ……はい、分かりました。少しなら…」
一瞬チラッと私を見た陽生が、少しばつの悪そうな顔をしてまた前に顔を戻す。
「陽……」
「悪い、すぐに戻ってくるからちょっと待ってて」
そう言って、私の頭をひとなでした後、目の前の紳士を追うように私から離れて行ってしまう。
そしてミサさんも…
「あ、失礼します…」
そう言って陽生と寄り添うように行ってしまった。



