甘い体温②・後編・


またまた後ろから声が聞こえ、振り向くと、そこには40代半ばぐらいの紳士が立っていた。



「やぁ、久しぶりだね。おお、ミサちゃんもじゃないか。珍しいなぁ~最近あまり見かけないと思ってたけど、元気にしてたかね?」


「…ああ、沢口さん。お久しぶりです」


「はい、おじ様お久しぶりです」



途端笑顔を作った陽生がスッと私の腰から手を離す。


見ると、2人はもうすでにビシッとした雰囲気に変わっていた。



「せっかくだ。少し向こうで話そうじゃないか。いいかね?」


「あー…今ですか。そうですねぇ……はい、分かりました。少しなら…」



一瞬チラッと私を見た陽生が、少しばつの悪そうな顔をしてまた前に顔を戻す。



「陽……」


「悪い、すぐに戻ってくるからちょっと待ってて」



そう言って、私の頭をひとなでした後、目の前の紳士を追うように私から離れて行ってしまう。


そしてミサさんも…



「あ、失礼します…」



そう言って陽生と寄り添うように行ってしまった。