「え……」
その瞬間、遮られるように声をかけられて私は言葉を呑み込んだ。
見ると、黒の気品溢れるドレスを身にまとったそれは何とも美しい美女が少し息を切らしながら駆け寄って来る。
「もう、先生!急にいなくなるなんて酷いですよ!」
言いながら陽生の腕を掴む。
はぁ……ビックリした。何て言いながら突然ハッと私に気付くなり、一瞬にして罰の悪そうな顔をした。
そしてそれに反応するように陽生の顔からも笑顔が消えていく。
ーー…何?
そんな光景にキョトンとすると、何故か陽生により一層きつく体を抱き寄せられた。
「あ、その方ってもしかして……」
「ああ、紹介するよ。もう気づいたとは思うけど彼女が俺の婚約者の果歩だ」



